一陸特を取得すると何ができるの? 資格の取り方と仕事につなげる方法を解説!

公開日:2022/11/14 最終更新日:2022/11/14

一陸特を取得すると何ができるの? 資格の取り方と仕事につなげる方法を解説!
第一級陸上特殊無線技士、通称「一陸特」については、特に無線に興味を持っているなら聞いたことがある人もいるかもしれません。今回は、一陸特がどのような資格なのか、取得方法や取得後にどのようなことができるようになるのか、また、実際に仕事につなげるためにはどうすれば良いのかなどについて解説します。

そもそも一陸特ってどんな資格?

「一陸特」は「第一級陸上特殊無線技士」を略した呼び方の無線従事者の資格で、この資格を持っていなければしてはいけない業務が存在する業務独占資格です。こちらでは、一陸特を取得することでできるようになる業務について解説していきます。

業務として陸上の無線局の技術的な操作ができる

一陸特の資格を保有していると陸上の無線局の無線設備の技術的な操作ができるようになります。
たとえば、私たちが持ち歩いている携帯電話が、何時でも、どこでも、誰とでも通話ができるのは、電波を送受信して中継するための基地局が日本全国いたるところに設置されているからです。一陸特を保有していれば、この携帯電話の基地局の運用やメンテナンスなどで無線設備の操作をすることができます。


携帯電話は常に最短の基地局の電波を掴んでいる

そもそも、業務用無線にはなぜ免許が必要なの?

一般的に馴染みのあるWi-Fiの電波などは範囲の狭い微弱な電波です。しかし、業務で使う無線ともなればより遠い距離まで届く周波数帯の電波を利用する必要があります。ところが、誰もがすべての周波数帯域の電波を自由に使えてしまうと混線が頻発し、無線機器の故障が起きるなどの混乱が予測されます。
そのため、有資格者のみに独占で特定の帯域を使えるようにすることで用途に合わせた周波数帯を配分し、無線利用者の混乱を防ぐ狙いがあります。

等級による違いは?

業務で無線を使用する陸上特殊無線技士には「第一級陸上特殊無線技士」「第二級陸上特殊無線技士」「第三級陸上特殊無線技士」「国内電信級陸上特殊無線技士」の4つがあります。等級によって取り扱える無線設備と周波数が限定されているので注意が必要です。

第一級陸上特殊無線技士は1つの伝送路によってさまざまな情報通信ができる多重無線設備の固定局において技術的な操作を行えます。たとえば、受信障害対策中継放送局や特定の市区町村放送局、レーダーについては無線設備すべてを操作することが可能です。  
また、第二級・第三級の陸上無線技士が行える陸上移動系の無線局やVSAT(衛星通信超小型地球局、HUB局)の操作も可能です。第二級陸上特殊無線技士はVSAT、陸上レーダーの技術操作、陸上移動系の無線局での操作ができます。

第三級陸上無線技士は陸上移動系の無線局の技術操作が可能です。たとえば、警察・消防無線、鉄道・タクシー無線などの基地局、陸上移動局、携帯局などが挙げられます。
国内電信級陸上特殊無線技士は陸上に開設している無線局の無線電信で、国内通信のための操作を行えます。モールス通信操作も可能です。この場合の陸上に開設している無線局とは、海岸局や海岸地球局、航空局・航空地球局を除いた陸上自衛隊などの無線局を指します。

一陸特で操作できる無線設備や一陸特の有資格者ができる業務の具体例とは?

一陸特の取得をすると、陸上無線局の空中線電力500W以下の多重無線設備、30MHz以上の周波数の電波を使用する技術操作、たとえば、携帯電話の基地局操作のほか衛星や業務無線、速度測定用レーダーなどを用いた通信システムの技術操作、テレビの中継局や交通機関の無線施設、携帯電話の基地局操作などで活躍できます。

二陸特や三陸特の上位資格でもあるため、警察や消防といった陸上移動系の無線局や衛星通信超小型地球局、HUB局、陸上レーダーの技術操作も可能です。

また、電波法に規定する登録検査事業者で無線設備などの点検業務を行う点検員になることができます。さらに、3年以上の実務経験により無線設備などの検査を行う判定員としての業務を行うこともできます。なお、無線設備は航空局・航空機局、海岸局、船舶局以外のものに限ります。

陸上特殊無線技士以外の無線従事者資格の種類

無線従事者の資格はこれまで解説してきた「陸上特殊無線技士」のほかにも、下記のような資格があります。

  • 放送局(テレビ、ラジオ)、固定局、無線標識局などの無線設備の操作ができる「第一級陸上無線技術士」
  • 小中規模放送局、航空用無線航行局などの無線設備操作ができる「第二級陸上無線技術士」
  • 海岸局・船舶局で陸海空の無線の操作ができる「海上特殊無線技士」
  • 航空機局で無線の操作ができる「航空特殊無線技士」
  • 陸海空すべてに対応できる「総合無線通信士」

総合無線従事者の資格は陸海空のすべてに対応できる資格で需要が高いですが、第一級総合無線通信士はさまざまある無線従事者資格のなかでも最も難易度が高いといわれている難関資格です。

無線従事者資格は、使用する無線機器の操作範囲により等級がさらに分かれていて、政令で定めている特殊無線技術士も含めて23種類あります。無線従事者の資格は通信士と技術士、特殊無線技士に分けることもできます。通信士と技術士は、特殊無線技士の上位資格です。

一陸特の取得方法

一陸特の取得方法は大きく分けて「国家試験」「養成課程の修了」「大学で無線通信の科目を履修して卒業」という3つがあります。

国家試験に合格

国家試験は2月・6月・10月と年に3回あり、受験資格はありません。ただ、合格率がわずか30%前後となっており、やや難関資格と言えます。試験科目は無線工学と法規の2つとなっています。無線工学が24問、法規が12問で、試験時間は約3時間です。ただ、法規の試験が免除されている場合は無線工学のみの試験となり、時間も2時間30分と短縮されます。

養成課程を修了する

養成課程であれば、総務省の認可を受けた事業者の実施する養成課程(講習会またはeラーニング)を受け、その事業者が作成した修了試験に合格することで一陸特の資格を取得できます。つまり、国家試験を受けずに資格が取得できます。そのため国家試験のスケジュールに学習の計画が左右されない上、養成課程を受けたすぐ後に修了試験を受けることができるため、独学よりも格段に高い確率で免許を取得することができます。

通常、一陸特の養成課程を受講するためには工業高校の電気科や電気通信科を卒業した場合と同等以上の学力が必要とされています。ただ、そういった学校を卒業していない場合でも、認定事業者が実施する選抜試験に合格することで誰でも受講が可能です。多くの場合、選抜試験対策のための講座も一緒に実施している事業者が多いため、独学に自信のない人は養成課程で取得するのが良いでしょう。


養成課程で免許を取得するまでの流れ

大学で科目を履修する

大学などで無線通信に関する科目を履修したうえで卒業する方法は、総務省が定める単位を取得して卒業すると、申請のみで一陸特の資格が取得できるというものです。大学で履修が必要な科目は「無線機器学その他無線機器に関する科目」「電磁波工学その他空中線系及び電波伝搬に関する科目」「電子計測その他無線測定に関する科目」「電波法規その他電波法令に関する科目」です。無線通信の勉強をしている現役の学生さんは、自身の通っている学校のカリキュラムを確認してみると良いでしょう。

一陸特を活かせる仕事は?

前述のように一陸特は業務独占資格であるため、資格保有者は求人市場でも安定した需要があります。特に求人数が多いのは携帯電話基地局の置局や保守・点検に関わる業務です。
スマートフォンの普及に伴い3G回線から4G回線への更新があったのは記憶に新しいですが、それから10年と経たずして現在は5G回線への更新作業が進行中です。このように、スマートフォンが生活インフラとなった今では快適な通信環境の整備に必須な資格となっています。

また、裏方的な仕事としては総務局が行っている無線検査の代理人として、登録点検事業者の点検員や判定員になるという選択もあります。このように、一陸特の資格が必須となる職業は多く、必須としていない場合でも一陸特相当の知識が必要になる仕事も少なくありません。

一陸特の取得と転職はトライアローがおすすめ

エンジニア系の派遣会社であるトライアローでは、前述で紹介した一陸特養成課程を行っています。特にいつでもどこでも学ぶことができるeラーニング版は人気で、国家試験のスケジュールに左右されることなくいつでも学習を始められ、学習後すぐに試験を受けられるのが特徴です。
また、自主学習でもペースがつかみやすいよう音声付きのオリジナルテキストを作成し、各章ごとの小テストについては解説動画を作成するなど「挫折者ゼロ」を目指した取り組みを行っています。

1979年の創業以来、長くエンジニアリング業界と深い繋がりのあるトライアローは、人材派遣・人材紹介サービスでも移動体業界に力を入れています。転職活動の一環として一陸特の取得を検討している方や、無線を業務に活かしたいと考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

資格取得や転職をお考えの方

養成課程を実施中!

無線・通信に強いトライアローが実施する一陸特養成課程は、資格取得はもちろん、すぐに現場で役立つ知識なども織り交ぜながら進めます。好きな時間、好きなペースで進められるeラーニング版もご用意しています。

お仕事をお探しの方

トライアローは長くエンジニアリング業界に人材を輩出して来ましたが、通信業界は特に得意としている領域です。無線や通信業界でお仕事をお探しの方はこちらよりお仕事情報をご覧いただけます。