公開日:2023/08/17 最終更新日:2023/08/17
冒頭でご紹介した建設業法とは、建設業者の資質向上や、建設工事請負契約の適正化等を図るためのルールを定めた法律です。その第27条で、「国土交通大臣は、施工技術の向上を図るため、建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者について、政令の定めるところにより、技術検定を行うことができる。」と定められています。出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp) これに基づき、国土交通大臣が指定した機関が「施工管理技術検定」という試験を実施しています。この第1次試験に合格すると、「施工管理技士補」となり、さらに第2次試験に合格すると受けることのできる称号が、「施工管理技士」です。 資格はそれぞれ1級と2級があり、1級が上位資格となっていて扱える内容が異なります。また資格はそれぞれ特化した7つの分野に分かれており、その種類により試験内容や監理技術者として業務が可能な工事が変わります。
施工管理技士の仕事内容は、建設工事現場で安全かつ効率的に作業が進められるように、工事全体の管理を行うことです。施工管理自体は資格がなくてもできますが、施工管理技士を取得することで従事できる仕事の幅が広がります。 たとえば、建設業許可を得ている事業所が現場に配置する専任技術者、公共工事など特定の工事現場に必要な監理技術者、主任技術者などの立場となれます。
先ほど施工管理技士には7種類あると説明しましたが、それぞれ概要を説明します。
河川、道路、橋梁、鉄道、上下水道などの土木工事において施工計画や管理などを行うことができます。 2級は、受検種別として土木・鋼構造物塗装・薬液注入の3つに分かれていて、実務経験などに応じていずれかを選んで申し込みが可能です。 検定の科目としては、土木工学、施工管理法、法規、その他選んだ種別により鋼構造物塗装 施工管理法、薬液注入施工管理法などがあります。 指定試験期間は、一般財団法人 全国建設研修センターです。
マンションや戸建て住宅、ビル、商業施設等の新築・改修の建築工事の現場において施工計画や管理などを行うことができます。 検定の科目としては、建築学、施工管理法、法規、躯体施工管理法、仕上施工管理法などがあります。 指定試験期間は、一般財団法人 建設業振興基金です。
照明や送電設備、信号、配線などの電気工事における施工計画や図面の作成、現場での施工計画や管理などを行うことができます。 検定の科目としては、建築学、施工管理法、法規、電気工学などがあります。 指定試験期間は、一般財団法人 建設業振興基金です。
冷暖房や給排水、浄化槽やガス配管などの管工事の現場において、施工計画や管理などを行うことができます。 検定の科目としては機械工学、施工管理法、法規などがあります。 指定試験期間は、一般財団法人 全国建設研修センターです。
公園や緑地、遊園地などの造園現場において、施工計画や管理などを行うことができます。 検定の科目としては土木工学、施工管理法、法規などがあります。 指定試験期間は、一般財団法人 全国建設研修センターです。
電話やインターネット、放送設備などの通信設備を新設・改修する電気通信工事の施工計画や管理などを行うことができます。 検定の科目としては電気通信工学、施工管理法、法規などがあります。 指定試験期間は、一般財団法人 全国建設研修センターです。
ブルドーザーやショベルなど、建設機械を用いた工事について、施工計画や管理などを行うことができます。 受検種別として第1種~第6種の6種類に分かれています。第1種はトラクター系建設機械、第2種はショベル系建設機械、第3種はモーター・グレーダー、第4種は締め固め建設機械、第5種は舗装用建設機械、第6種は基礎工事用建設機械です。 検定の科目としては土木工学、施工管理法、建設機械原動機、石油燃料、潤滑剤、法規に加え、選んだ種別に合わせた科目があります。 また、二次試験では施工管理技士試験では唯一となる実技試験があります。実際の選んだ種別の実機を使用し操作施工を行います。 指定試験期間は、一般社団法人 日本建設機械施工協会です。
最初に説明した通り、施工管理技士は1級と2級に分かれています。ここまで紹介した分野による違いだけでなく、1級と2級で取り扱える範囲や責任の重さも異なります。 2級は一般建設業の営業所における専任技術者、各現場に配置される主任技術者になることができ、1級は2級の範囲に加え、特定建設業の営業所における専任技術者、一般建設業の各現場に配置される監理技術者になることができます。
それぞれ1級、2級の第1次試験、第2次試験には受験資格として、所定の実務経験年数が定められています。
※2級技術検定を合格している場合や、専任の管理技術者の元の実務経験がある場合、免状を受けている場合などは必要実務経験年数が変わる場合もあります。
先ほど説明をさせていただいた通り、施工管理技士1級資格を取得することで特定建設業の専任技術者、一般建設業の監理技術者になることができ、2級を取得することで一般建設業の専任技術者、主任技術者になることができます。 専任技術者や主任技術者、監理技術者は役職の一つですので、仕事の幅が広がり、年収アップも見込めると言えるでしょう。 また、施工管理技士は経営事項審査において企業に加点されます。1級は5点、2級は2点の加算があり、この特典は公共工事を受注するときに技術力評価の指針の一つです。 このような背景から、会社の利益に直接的に貢献できる資格と言えるため、企業によっては資格を持っていることで資格手当を支給する企業もあります。
転職活動でも同様のことが言えます。全く同条件の資格を持っていない人と持っている人が来た場合、資格を持っている方が有利というのは言うまでもありません。それだけでなく、資格を持っていれば公共工事の入札で有利になるため、企業から魅力に思ってもらえるポイントの一つとなります。 また、施工管理技士は決して簡単な資格ではなく、取得するためには実務経験や勉強が必要です。これらの「努力の証」でもあるため、資格を持っていることで建設に関する知識や実務でのコミュニケーション力、リーダーシップ、さらには試験のために努力する姿勢をアピールすることができます。
このように施工管理技士の資格は工事現場で管理者や責任者として活躍できるだけでなく、転職にも非常に強い武器になります。難易度は高いですが取得を目指す価値はあるでしょう。 また、建設業界は慢性的な人手不足と言われています。今後施工管理技士の有資格者も減っていくと考えられており、資格を持っておくことで市場価値は高いです。 施工管理としてさらに仕事の幅を広げたいと考えている場合には、資格取得を目指すと良いでしょう。
トライアローは、建設業やIT・通信などに強い技術系の派遣会社です。長年の実績・経験を活かし、キャリア形成をするためのアドバイスも行っています。 技術者派遣で働くことで、「残業が少ないことが多い」「転勤が無い」等のメリットがあり、未経験からでも施工管理に挑戦できるうえ、希望条件に見合うプロジェクト(求人)を紹介してもらうことも可能です。 建設業にルーツがある会社なので、建設業界に独自ネットワークがあるのも特徴です。施工管理の仕事に興味がある場合は、トライアローで探してみましょう。
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