公開日:2021/02/05 最終更新日:2021/02/05
こちらのページではプラント業界における定修の仕事内容に絞って解説をしています。プラント業界全般における職種や仕事内容等については、下記のページにて解説していますのでそちらもご覧ください。
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はじめに「定修」とは何かについて解説していきます。定修とは「定期修理」の略称で、工場(プラント)設備の点検・修理を定期的に期間を決めて行うことを指します。定期的に行う理由としては、設備に不具合が起こるたびに稼働をストップしてしまうと生産性が落ち、コストが増えてしまうためです。 特にエネルギーを精製している化学プラントの場合は24時間稼働により効率を上げています。そのため、定期的にまとめて点検・修理を行い、トラブルを未然に防ぐ定修という運用方式がとられているのです。また、化学プラントは石油や天然ガスなどの危険物を扱っており、ちょっとした設備不良で大事故につながってしまいます。こうした理由から、定修の実施は法律により義務付けられています。
定修における点検では、プラントが稼働している時にはできない設備内部の点検作業などを行っています。主な点検業務は以下の通りです。
ここでは目視によってダクトやクレーン等のサビや部位破損の確認、更には油漏れや管内腐食などのチェック等も行います。
次の作業では、発見された箇所をチェックして目視によって劣化度の判定を行います。
ここまでで発見された内容について報告書を作成します。
最後に、劣化度のランクなどを考慮して着手する順番やスケジュールを決定します。
こうした点検作業を行った後、設備の修繕・交換を行っていきます
修繕を行う際は、最初に修繕計画を立てます。また、管轄する官公庁への届け出を出すなどの法的な手続きも行います。そうした後、工事の仕様の確定や設備の修繕、配管の交換などの作業に取り掛かります。
最後に、稼働中に溜まってしまった汚れなどを洗浄します。また、ここまでの工程を終えた中で、設備の安全面や作業の効率化などの観点から改造を加えることもあります。現在使用している製品よりも交換することでより効率を上げられる製品があれば、そちらを組み込むなどの対応が行われる場合もあります。そのため、施工管理者は新しい技術や製品に対してアンテナを張り、情報を入手しておく必要性があります。
このように、プラントの定修には溶接作業や配管の切断など、特定の技術を持つ多様な職人さんの力が必要不可欠です。さらに、プラントの規模が大きくなればなるほど修理しなければならない箇所も増えていきます。こうした様々な職種の人が一緒に作業する状況において、作業をする人とは別に、全体の作業の進行管理ができる人材が必要不可欠になります。ですので、必然的に施工管理者の需要は高止まり傾向にあります。
・危険物取扱者 ガソリンなどの危険物を取り扱う際に必要な国家資格です。丙種、乙種、甲種に分かれていて扱うことができる危険物が異なります。甲種は受験条件があるため、まずは丙種または乙種の取得をしましょう。 ・毒物劇物取扱責任者 化学製品など、毒物・劇物を取り扱う際に必要となる国家資格です。毒物・劇物を取り扱うプラントでは設置が必須のため、取得しておくと良いです。 ・施工管理技士 建設業での技術を認定する国家資格です。複数の種類に分かれていて、建築・電気工事・管工事の施工管理技士を取得しておくと良いです。
こちらのページでは定修業務における施工管理の仕事内容を解説していますが、プラント業界全般における施工管理の仕事内容については下記の別ページにて解説をしています。ぜひご覧ください。
一部ネット上の情報などでは、定修の施工管理の仕事は激務でブラックだと噂されています。そのように言われてしまう背景には様々な要因があります。 一つ目は、プラントという巨大な設備を扱うことになる点です。広大なプラントの点検と修繕を定められた期間内に完了しなければならいため、締め切り直前になると泊まり込みでの作業になってしまう場合もあります。これは、プラントを停止させる期間が決まっているため、スケジュールの厳守が求められていることが原因の一つと言えます。 二つ目の理由は危険物を取り扱っている場所であるため、安全管理への気配りが求められる点です。少しのミスが大きな事故に繋がってしまう可能性があるので、常に気を配らなければなりません。こうした理由から定修の仕事は大変だというイメージがついてしまっています。
ここまでご紹介してきたように、定修の仕事は決して楽な仕事ではないということがお分かりいただけたかと思います。しかし、定修の仕事には魅力的な面もあります。この章からは定修の仕事のメリットもご紹介していきたいと思います。
化学プラントを新規で建設する場合、近年の業界の流れとしては海外に建設するケースが増えています。その理由は、海外の方が土地代や人件費が安く済むからです。しかし、海外から輸入されてくる原油などを精製することを主とした既存の国内プラントは多数あり、これらのプラントは重要な国内のエネルギー、つまりは日本経済のインフラのような存在なので無くなることがありません。日本では定修を一定の期間で行わなければならない法律があるので、これらのプラントがある限り定修の仕事の需要もあり続けるということになります。
定修における施工管理の場合、経験を積んで知識や実力をつけるほど収入も比例して上がっていきます。そもそも、施工管理の職種自体の平均年収が高く、平均年収は約630万円、中央値は約600万円となっています(※1)。その中でも、プラント・エネルギー分野の施工管理はさらに高額で、平均年収725万円となります。日本全体の就労者の平均年収が436万円(※2)であることを考えると、比較的高待遇な職種と言えます。 また、作業員とは違い自分で直接工事をすることはないので、就職してすぐに特別な資格が必要なわけではありません。現在、建築業界では後継者不足が進んでおり、未経験からでも始められる案件が増えてきています。就職後に資格が必要になるケースも多いのですが、取得にかかる費用を会社が出してくれる上に、資格を取得すると資格手当がもらえる企業も多く、待遇面でのメリットがたくさんあります。 取得する資格に応じて昇給がある人事制度を採用している企業が多いのもこの職種の特徴で、長く経験や知識を積むほどに高待遇が期待できます。
前述の通り定修の施工管理の仕事は長時間勤務になりがちですが、それ故のメリットもあります。定修の仕事は期間が決まっていると説明しましたが、それはつまり、「稼働中は多忙だがプロジェクトとプロジェクトの間に長期休暇がとれる」ということでもあります。ですので、一定の期間で一気に稼ぎ、それ以外の時期はのんびり暮らしたり、逆に稼ぎたい人は絶え間なくプロジェクトに参加してお金を稼いだりと、自分に合った働き方を選ぶことができます。 また、資格を取得すると給料が上がるのもこの職種の特徴なので、プロジェクトとプロジェクトの間に集中的に資格の勉強をすることで、後の昇給のために時間を使うこともできます。
定修の施工管理のキャリアパスとしては、経験を積み資格取得などをすることで、将来的に同企業でプロジェクトマネージャー等の責任者や監理技術者などの現場のまとめ役のキャリアを築くことが可能です。 その他にも、現場で培った知識や経験、人脈を活かしてフリーランスとして勤務をする方もいます。フリーランスとして勤務をする場合、資格の有無や経験内容により受注金額が変わりますので、フリーランスを考えている場合は資格取得や人脈づくりも考えられると良いです。 しかし、仕事をしながら人脈づくりや新たな仕事の受注、さらには自分で税金や保険料の管理を安定して行うのは大変です。 そこで、派遣社員として勤務をする方もいらっしゃいます。派遣社員の場合は税金・保険の手続きはすべて派遣元の会社が行ってくれるのに加え、様々な案件を有しておりますので希望に合うプロジェクトを紹介してもらうことができます。
派遣社員というと「正社員の補助的な職業」や「調整弁のような扱い」といったイメージがあると思います。しかし、今回解説したような建設業界はプロジェクト単位で作業が進みます。こうした中では高いスキルの技術職(補助的な業務でない職務)であっても派遣として働いている人も多く存在しています。 人員を募集しているプロジェクトを探して自分でその都度応募して仕事を見つける方法もありますが、1回1回履歴書等の書類を用意してから面談に臨むことを考えると手間も時間もかかります。 一方、派遣として登録しておけばプロジェクトを探す手間が省け、得意な業務や希望する業務など自分に合った仕事を紹介してもらえます。他にも、先ほど説明した「絶え間なく働いて貯金をしたい」「プロジェクトとプロジェクトの間は長期の休みは必須」など、希望する働き方を派遣会社に相談することができる点もメリットの一つです。
私たちトライアローは、主に建設・通信・IT系の技術職を得意とする派遣会社です。1979年の創業当時は、化学プラントの設計事務所としてスタートしました。プラントの建設には実に多種多様な技術者が集まるため、そこでできた人的ネットワークをより業界のために役立てたいと考え、1986年に派遣法が整備されると同時に派遣事業に参入。長く化学プラントの設計や建設、メンテナンスに携わってきた当社ならではのお仕事もご用意しています。
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