公開日:2023/06/09 最終更新日:2023/06/09
派遣社員と聞くと、多くの人は正社員と比べて福利厚生が手薄だというイメージを持つのではないでしょうか。以前には、そういった一面があったのは確かです。しかし、その一方で、近年では法整備なども進み派遣社員の福利厚生が正社員並みに整っている派遣会社も増えてきています。そこで今回は、派遣社員が受けられる福利厚生と福利厚生の手厚い派遣会社の選び方などについて説明します。 ※2023年5月現在の内容です。
福利厚生とは、給与や賞与以外で企業が従業員とその家族へ提供する報酬やサービスのことです。生活や健康をサポートすることで、モチベーションや生産性の向上を目指して提供されています。 かつての福利厚生は正社員のための制度だといっても過言ではありませんでした。しかし、2004年の労働法の改定の際に「派遣労働者の福利厚生等にかかる均衡配慮」という項目が新設されたことによって、派遣社員も福利厚生を受けやすくなりました。
まず、派遣社員の雇用形態について説明します。 派遣社員は、派遣元企業と雇用契約を結び、派遣先企業(勤務先)で就業します。雇用主となるのは派遣元企業であり、勤務先となる派遣先企業の従業員ではありません。 では、派遣社員と正社員で福利厚生はどのように異なるのでしょうか。 2020年4月より施工された同一労働同一賃金法により、同一労働であれば、給与や福利厚生も同じであるべきという前提があるため、基本的には正社員と同等の福利厚生を受けることができます。 雇用主と実際の勤務先が異なるため、福利厚生のサービスはどちらから受けるのか気になる方もいらっしゃると思いますが、それは派遣元との雇用関係の方式により異なります。
派遣元との契約関係「労使協定方式」の場合 派遣元企業に合わせた福利厚生サービスを受けることになります。(派遣先の食堂や更衣室など、福利厚生施設の利用は可能) 派遣元との契約関係「派遣先均等・均衡方式」の場合 福利厚生は派遣先に合わせたサービスを受けます。
しかし、どのような福利厚生制度があるかは、企業によって異なりますので、注意が必要です。
福利厚生にもさまざまな種類があります。 大きく分けると2種類となり、「法定福利」と呼ばれる、法律で定められていて登録する派遣会社に関係なく一定の条件を満たすことで受けられる福利厚生と、 「法定外福利」と呼ばれる、企業の任意で実施している福利厚生があります。 それぞれ解説します。
福利厚生の中で特に重要度が高いとされているのが社会保険です。社会保険とは、複数の保険をひとまとめにしたものの総称であり、その中に含まれる保険としては「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」などが挙げられます。これらの保険は労働者を守るために極めて重要なものです。しかし、以前は正社員でなければなかなか加入できないのが実情でした。そこで、2016年10月に社会保険制度の改定が行われ、一定の条件を満たせば派遣社員でも社会保険の加入が可能になったのです。 保険ごとに加入条件は異なります。それぞれの加入条件を解説します。
雇用元の派遣会社によって社会保険への加入条件が変わる場合がありますので、事前に派遣会社へ確認しておくことが大切です。
企業は安全衛生法に基づき、すべての社員に対して安全衛生や健康面に関する法的責任を負っています。そのため、年に一度は医師による健康診断を実施しなければなりません。 そして、その中には、当然、派遣社員も含まれています。ただ、すべての派遣社員が健康診断を受ける権利を得られるわけではないので注意が必要です。 まず、企業に雇用されていることが最低条件です。派遣会社に登録しているだけで、まだ働いていないという場合は基本的に健康診断を受けることはできません。派遣先で働いている場合は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第45条」によって「労働安全衛生法」の適用を受けることが定められています。 しかし、「労働安全衛生法」では明確な規定は定められておらず、健康診断を受けるために必要となる条件は派遣会社によって異なります。各派遣会社によって個別に定められているため、登録をする前にその内容を確認しましょう。
受診条件の一例 就業期間が半年以上で、週30時間以上勤務している者 など
有給休暇は正式名称を「年次有給休暇」といい、一定の日数までなら仕事を休んでも休暇分の給料が支払われる制度を指します。この制度は正社員だけしか利用できないと思われがちですが、実際はそんなことはありません。一定の要件さえ満たせば、派遣社員はもちろん、アルバイトやパートであっても有給休暇の取得は原則可能です。 それは、労働基準法第39条に定められており、会社には一定の要件に該当した労働者に有給休暇を取得させる義務があるとしています。しかも、有給休暇の取得には使用者側の承認は不要であり、利用の目的に制限は一切ありません。 有給休暇を取得する条件
こちらの条件に当てはまれば、以降は毎年、勤務日数などから算出した日数分だけ、有給休暇が付与されます。その日数は毎年増えていき、最終的な付与日数は最大で年間20日です。 尚、付与される有給休暇の日数は所定労働日数によって異なりますので、付与される日数は派遣元の会社へお問い合わせください。
産休は、産前に6週間(双子以上の場合には14週間)、産後に8週間にわたって取得できる休業制度です。 育休(育児休業)は、原則として子供が満1歳になるまで、必要に応じて最長で2歳になるまで取得できる休業制度です。
<産休を取得する条件> 産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合には14週間前)から会社に請求すれば取得することができます。他方、産後休業は、会社に請求するか否かに関わらず出産日の翌日から8週間は原則就業することはできません。例外的に医師が就業して問題ないと認めた場合には就業する事ができます。
<育休を取得する条件> ・同じ会社で継続して1年以上雇用 ・休業の申し出の日から1年を超えて引き続き雇用が見込まれる。 ・子どもが1歳6か月(最長2歳)になる前になるまでに契約満了、契約の更新がされないことが明らかでない ・1週間の所定労働日数が3日以上 ※取得条件は、会社がどのような労使協定を締結しているかによって変わってきますので、詳細は派遣元の会社にご確認下さい。
ここまで説明してきた福利厚生はどの派遣会社でも得られる派遣社員の基本的な権利ですが、会社によってはそれ以外にも独自の福利厚生を行っているところも少なくありません。そこで、数ある独自サービスの中から代表的なものをいくつか紹介していきます。
派遣会社の多くは社員の満足度向上のために、独自の福利厚生サービスを導入しています。その中でも、高い人気を誇っているのがレジャーランドや旅行などの割引優待制度です。具体的なシステムとしては、会員登録をすることで旅行やレンタカーの使用、あるいは映画やレジャーなどの際に、利用料が割引になるという形になります。また、休日を対象としているもの以外にも、フィットネスクラブやスポーツクラブの利用が特別価格になるなど、日常的に使えるサービスも多くあります。
レジャーや旅行以外では、教育プログラムや資格取得支援といった、キャリア形成に関わる事柄に力を入れている派遣会社もあります。たとえば、資格取得を目指す場合には参考書の購入費を補助したり、合格した際には一時金が出たりする制度等を設け、働くスタッフのキャリア形成に寄与する制度としてこうした福利厚生を整備している派遣会社もあります。
派遣社員の場合、給料に含まれることが多いですが別途交通費を支給している場合もあります。派遣会社に登録する際にはしっかり確認をしましょう。また、支給される場合も上限額があることもあるので、確認をしてみてください。
従業員が使用できる食堂を導入しているところもあります。利用に条件はないことが多く、割引価格で利用できます。
常用型派遣であれば、賞与(ボーナス)がある場合もあります。 一般的な派遣は「登録型派遣」といい、一定期間の雇用契約を派遣会社と結び、勤務します。対して「常用型派遣」は、派遣会社と制限を設けず無期の、派遣会社の社員として雇用契約を結びます。登録型派遣と比べて収入の安定がメリットです。 常用型派遣の場合、正社員と近い形ですので賞与・退職金支給があるケースもあります。 常用型派遣は、IT系、技術系など専門的な案件が多く、自分のスキルを活かしたい方にお勧めです。
派遣社員の福利厚生は昔と比べてかなり充実してきましたが、具体的な内容はというと、派遣会社によってさまざまです。せっかく働くのであれば、より働きやすい環境・良い待遇を選びたいと思います。是非福利厚生について確認してみて下さい。 特に、スキルアップを狙うなら、教育プログラムや資格取得支援が充実しているところを選ぶのが賢明だといえます。特に、エンジニアの派遣会社を探している人や乗り換えを考えている人は私たちトライアローでお仕事を探してみてはいかがでしょうか。
私達トライアローでは、現在、働く皆さんがより安心して暮らしていただけるよう、福利厚生サービスを拡充中です。上記でご紹介したレジャーやスキルアップの福利厚生サービスは当然完備していますが、より普遍性の高い教育プログラムにも力を入れており、マネージャー研修やアンガーマネジメント研修等と言った近年人気が高いビジネスコミュニケーションのセミナーなども受けていただけます。
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