公開日:2023/08/17 最終更新日:2023/08/17
組み込みエンジニアとは、家電製品や工業機器などの機械の中に組み込まれた制御システムの開発を行うエンジニアのことです。制御システムが組み込まれた製品は、家電製品だとテレビや冷蔵庫、エアコン、工業機器では産業用ロボットなどがあり、コンピュータで動作する機械のほとんどに組み込まれています。組み込みエンジニアは、これらの機械が指示通りスムーズに動くようにプログラミングを行います。 近年はIoT化が進み、様々な家電製品がインターネットにつながるようになりました。今後もますますIoT化が進むと考えられていて、需要は年々増加するとみられています。さらに、AI技術の進歩によりAI技術を搭載した制御システムの開発も進んでいて、顔認証システムや自動運転技術などもその一つです。これからますます需要が増えることが期待されます。
組み込みエンジニアの主な仕事内容は、次の通りです。
仕事の流れは他のITエンジニアとあまり変わりません。他のITエンジニア同様、組み込みエンジニアの各業務は、1人ですべてを対応するのではなく、上流工程・下流工程に分けて担当することが多いです。上流工程、下流工程ごとにそれぞれの仕事を説明します。
企画・要件定義では、クライアントの要望をヒアリングし、どのような機能を開発するのかを決めます。組み込みエンジニアが直接クライアントからニーズなどを聞くことがほとんどで、ヒアリング力も必要です。 システム設計では、要件定義の内容をシステムがつくれるレベルまで詳細化します。具体的は、画面に設置するボタンやシステムに持たせるデータ等の設計です。設計は細かく分けると3種類に分かれていて、ユーザー画面などを設計する外部設計、プログラムレベルの設計を行う内部設計、ソフトウェアやハードウェア、ネットワーク等のシステムを構成するものの設計を行うシステム方式設計があります。 要件定義やシステム設計に不備があると、クライアントのニーズに合わせた機能とならず途中で大きな仕様変更が入り、作り直しになるケースも少なくありません。 この段階でどのようなシステムができるのかがほとんど決まりますので、非常に重要な工程です。
プログラミングは言葉の通り、設計した内容を元にコーディングを行います。開発を進めるうちにエラーやバグが出てくることがほとんどですので、そのバグやエラーの原因を突き止め修正することも必要です。 プログラミングが終わったあとは、テストを行います。テストは、プログラムに問題が無いかの確認を行う工程で、テストの中にもいくつか種類があります。
単体テストは自動化されていることが多いですが、結合テストや受入テストは手動で行うこともあります。また、テストをした結果問題が検出されれば、その箇所の修正も行わなければなりません。 最後は保守です。システムはリリースして終了ではなく、リリース後には保守業務をする必要があります。具体的な業務内容としては、システムのメンテナンスやバージョンアップ等です。通常、駆け出し組み込みエンジニアはテストや保守業務からスタートすることが多く、これらの業務経験を積んでいき、コーディング、設計なども学んでいきます。
組み込みエンジニアが活躍する業界は、以下のような業界です。
冷蔵庫などの家電や工場で使用される機械、身近な携帯電話やゲーム機など、様々なものに機能を制御するシステムが組み込まれています。幅広い業界で組み込みエンジニアが活躍しています。
組み込みエンジニアは、自分がプログラムした通りに機器が動作することを実際に確認できる仕事です。そのため、自分が設計・プログラミングしたシステムを搭載した機器が意図通りに動くということにやりがいを感じる人が多いようです。 また、自分が開発に携わった製品は実際に販売され使用されるので、「役に立っている」という実感も得ることができます。やりがいのある仕事といえるでしょう。
続いて、組み込みエンジニアにはどのようなスキルが必要なのか解説します。
組み込みエンジニアに限らずITエンジニアに必要とされるスキルですが、中でも組み込みエンジニアに使用されることの多いものを紹介します。 言語はC言語やC++言語、Java、アセンブリ言語などが使用されることが多く、中でもC言語は一番汎用性の高く使用率も高いです。C言語の機能を拡張したものがC++言語で、IoTやロボット制御などに関するプログラミングに使用されることが多いです。 OSは、LinuxやiTRON、Windowsが多く用いられます。 これらの基礎知識を身につけておくと良いでしょう。
エンジニアはソフトウェアの知識を求められることが多いですが、組み込みエンジニアは加えてハードウェアの知識も求められます。システム開発の中でハードウェアの回路図面を見て仕様の確認や操作を行うことがあり、回路図面を読む力は必須となることが多いです。ハードウェアについても事前に勉強しておくと良いでしょう。
組み込みエンジニアは、チームでプロジェクトを進めていきます。他のチームメンバーやクライアントとコミュニケーションをとる場面が多いため、コミュニケーション力が求められます。特に上流工程である要件定義やシステム設計では重視されるスキルとなります。
必須ではありませんが、組み込みエンジニアは英語を使えるとメリットが多いです。 理由としては2点あります。 1つ目は、近年オフショア開発が進んでいて海外拠点の仕事が増えていることです。海外拠点のプロジェクトを進めることとなると、現地のメンバーと直接コミュニケーションがとれる英語を喋れると仕事の役に立ちます。 2つ目は、組み込みシステムに用いる部品が海外製のものが多いからです。海外製の場合、仕様書が英語で書かれていることがほとんどで、それを正しく理解して使うために英語力があると良いでしょう。
組み込みエンジニアに必須の資格はありません。しかし持っておくことでメリットになる資格はあります。その資格を紹介します。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営する国家資格です。 どちらもIT人材としての知識や技術の証明となる資格で、組み込みエンジニアに限らず多くのITエンジニアが取得をしています。 基本情報技術者試験はエンジニアの登竜門とも呼ばれ基本的な知識を求められます。応用情報技術者試験は、言葉の通り応用的な内容を求められ、基本情報技術者試験を取得した後にステップアップとして取得する人も多い資格です。 取得を奨励している企業も多く、取得することでITエンジニアとしての基礎知識を学ぶことができますので、持っておいて損はない資格といえるでしょう。
JASA(一般社団法人組込みシステム技術協会)が運営する認定資格です。 エントリーレベルのクラス2とミドルレベルのクラス1に分かれていて、組み込みソフトウェア開発に関する知識を証明する資格です。 クラス1もクラス2も合否判定は無く、正答率を元にレベルをグレードA~グレードCで評価をされます。尚、クラス2に受験資格はありませんが、クラス1を受けるためにはクラス2の試験で500点以上(800点満点中)のスコアを取得していることが受験資格です。クラス1の試験で得られたグレードは、名刺などにも記載できるものとなります。取得をしておくと転職活動の際にもアピールになるでしょう。
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験と同じくIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営する国家資格です。 応用情報技術者試験よりさらに高度な技術と知識が問われます。エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験と共に情報処理技術者試験の1種ですが、こちらの試験の難易度は最高峰のレベル4です。 難易度の高さの一因として出題範囲の広さが挙げられ、IoTを含む組込みシステムの開発に関係する広い知識や技能はもちろん、市場動向・関連業界の動向を踏まえた最適な組込みシステムの事業戦略や製品戦略の策定、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様の策定、要求仕様に基づいた組込みシステムの設計・構築・製造の知識や実践能力まで求められます。 こちらも難易度は高いですが、組み込みエンジニアとしての能力の証明となるでしょう。
一部ネット上などで「組み込みエンジニアはやめとけ」と言われることがあります。その理由について解説します。
先ほど説明させていただきましたが、組み込みエンジニアはソフトウェア・ハードウェア両方の知識が必要になるなど、他のITエンジニアと比べて幅広い知識や技術が必要となります。多くの知識や技術が必要になるということは勉強時間もその分長く必要になるということですので、知識や技術の習得の大変さから、「やめとけ」という人もいるようです。
上述した知識・技術力が求められる背景から、他のITエンジニアと比べて人手不足の傾向が強いです。人手不足=需要があるのは間違いありませんが、人手不足により仕事が忙しい環境にもなりやすいと言えます。納期次第では長時間の残業が発生する可能性があることは「やめとけ」と言われる一因です。
組み込みエンジニアに限らず、クライアントからの依頼でソフトウェアを開発する場合すべてに当てはまりますが、クライアントありきでの仕事となります。 長い開発期間の中ではクライアントの要望や意向が変わることも多く、開発途中で仕様変更が入ることがあります。状況によってはソフトウェアを一から作り直さなければならないことも・・・ 修正が入っても納期は変わらず過酷なスケジュールになってしまうケースも少なからずあり、「やめとけ」と言われることがあります。
こちらも組み込みエンジニアに限らず、ITエンジニア全般に当てはまりますが、一度言語等の知識を覚えて終わりではなく、継続的な学習が必要となります。 IT業界は日々新しい技術の開発が進んでいて、いつ今使用している言語や環境が廃れるか分かりません。組み込みエンジニアとして長く働くためには、トレンドの技術の情報収集や必要に応じた学習が必要です。 組み込みエンジニアに関係ある分野では、近年IoTやAI分野の発展がありました。このような最新技術の情報収集を行うことで、いつまでも必要とされる人材となることができます。逆に、あまり学習をしたくないという場合には「やめとけ」と言われるでしょう。
最後に組み込みエンジニアの将来性についてです。 組み込みエンジニアの将来性は高いと言えるでしょう。その理由について説明します。
最近は時計にコンピュータが内蔵されたウェアラブルデバイスを目にする機会が増えたのではないでしょうか。このように日常の様々なアイテムにコンピュータやシステムが組み込まれるようになってきました。今後も技術の発展により、AIなどさらに高度な機能や技術を用いた製品の開発が進むと考えられています。 新しい技術を取り入れる必要があるため新たな学習などは今後も必要となりますが、需要が絶えない職種と言えるでしょう。
上述した部分と少し被りますが、組み込みエンジニアは幅広い分野での活躍が期待されています。先ほどの家電やゲームに始まり、自動運転技術や医療機器など、今後も技術の発展に伴い幅広い業界へ進出できると考えられていて、さらに需要が増えることが見込まれます。
前章で、組み込みエンジニアはソフトウェア・ハードウェア両方の知識が必要になるため、他のITエンジニアと比べて知識や技術の習得が大変というのを説明させていただきました。その影響もあり、C言語を学ぶ若手エンジニアが減っています。 最初こそ大変な部分はありますが、今のうちから組み込みエンジニアとしての実績を積んでおくことで、将来様々な企業から引っ張りだこのエンジニアに慣れる可能性があります。
組み込みエンジニアの仕事内容や必要スキル、将来性について解説しました。組み込みエンジニアは未経験から目指すこともできる職種ですが、ITエンジニアとしての知識が必要となります。未経験からの就職を目指す場合、予め言語やソフトウェア、ハードウェア等の勉強を行いましょう。勉強方法は独学・スクールに通う等の選択肢がありますが、技術や知識を証明として基本情報技術者試験などの資格取得をすることをお勧めします。
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