公開日:2021/02/10 最終更新日:2021/02/10
本ページではプラント業界における施工管理の仕事内容に絞って解説をしています。プラント業界全般の職種や仕事内容については別のページで解説していますので、下記よりご覧ください。
まず、施工管理とはどんな建物を造る際にも必ず必要になる職種です。ただ、それぞれの作業を専門とする職人さんとは違い、そういった職人さんたちの作業を俯瞰し、納期までに決められた予算内で無事作業を終えられるように全体の調整をするのが施工管理の仕事内容となります。 他にも、作業をする上で起きうるリスクを事前に想定して安全管理を行うこと、適切な部材を適正な価格で仕入れる等の原価管理、完成した施設が安定した稼働を行えるか点検する品質管理なども施工管理者の仕事となります。 特にプラントにおける施工管理の場合は、一般的な住宅やビルに比べて使われる部品の種類も多く、より専門性が求められる点が特徴です。そのため習得すべき知識の量も多いのですが、その分同じ施工管理職の中でもプラントの施工管理は報酬も高い傾向があり、建設業界で長くキャリアアップをし、高収入を狙いたい人に向いている職種と言えます。 それでは、プラント建設における具体的な仕事内容を5つに分けて見ていきましょう。
プラントにおいては石油や天然ガスなどと言った引火性、爆発性を持つ物質を電子制御された機械で扱うこととなります。その過程で、操作ミスや回線のショートなどと言った事故に繋がるリスクは常に発生します。リスクが高まる作業を特定し、その作業を行う際はダブルチェックを行うルールづくりをすることや、危険物に関する有資格者や専門性の高い人材をその作業に充てるなどの配置を考えてリスクを最小限にしていくのも、施工管理者の業務となります。
納期を守ることはどういった業務にも求められることですが、プラントの施工管理の場合はより予定通りに稼働が開始できるかどうかが重要視されます。と言うのも、プラントで生成されるエネルギーや原料が不足すると、あらゆる産業の生産計画が狂うことになります。つまり、納期の遅れが様々な業界に影響を与えてしまうため、事前に現実的なスケジュールを立てることと、そのスケジュール通りに作業が進んでいるかどうかに常に気を配ることが大切です。スケジュールに遅滞が発生しそうな場合は人員の配置転換を行って作業の遅れを取り戻すなどの調整を行って、スケジュール通りに作業が進むよう配慮することが重要です。
プラントの施工管理は、扱う物件が大規模なので当然使用する部材の数や機械の種類も多種多様です。こうしたプラント施設を構成する部材や機械は耐久性や機能によって値段も様々です。決められた予算の中で求められた機能を満たすためにどのようなスペックのモノを選択すべきか、メーカーの担当者と打ち合わせをしながら決めて行きます。 現在では多くの場合原価管理システムが導入されているため、何にいくら使ったかを瞬時に参照することができます。そのため、どのセクションにどれくらいのスペックのモノを配置するかを予め決めておくことで、以前よりも格段に作業が進めやすくなりました。
配置した機械が正常に動くかどうか、配管や配電などに不備はないかなどのチェックを行った後に、いよいよ試運転を行います。この試運転は予行練習のようなものです。工期ギリギリで試運転の工程に入った場合、少しでも不備があると納期が遅れたり、現場に焦りや過度な緊張とストレスがかかることで不備を見逃したりするリスクも発生します。施工管理者としては、少しでもスケジュールに余裕を持った状態で試運転の工程に入れるよう心がけておくと良いでしょう。
プラントは建設が終われば終了ではなく、安定的に稼働が続けられるよう定期的なメンテナンスが必要となります。その際、建設に携わった施工管理者がメンテナンスも担当するケースもあります。前述のようにプラントの稼働には高い安全性が求められるため、建設時に難航した点などを覚えている施工管理者の方がより正確にリスクを予測することができるためです。自分が手掛けたプラントに継続的に携わることができるのも、プラント施工管理者の醍醐味と言えるでしょう。
プラントの施工管理は厳しい仕事であることは事実です。その理由はまず、残業の多さが挙げられます。厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」を見ると、建設業界は年間300時間以上も労働時間が多いことがわかります。しかも、プラントの場合は工期の遅れによってプラントの稼働日数が1日でも減ると莫大な額の損失を出してしまうため、他の施設の場合よりも納期の厳守が求められます。そのため、納期前は泊まり込みでの作業になる等、長時間労働になってしまう傾向があります。
次に挙げられる理由は、関わる人が多い故に人間関係の悩みが多いことです。施工管理の仕事は、クライアント(発注者)と現場の作業員の両者の間に立っている存在です。この板挟みの状態がストレスに感じるといった声は多く聞こえてきます。このように、心身ともに疲れてしまうことから、プラントの施工管理はキツイと言われてしまっているのです。
※厚生労働省 毎月勤労統計調査のページはこちらから
プラントにおける施工管理者は、基本的にはカレンダー通り(土日祝)のお休みとなります。ただ、前出のようにプラントの工事は納期の厳守が求められるため工期に遅れが発生している場合は休日出勤を余儀なくされるケースもあります。こうした点から「ブラック」「激務」というイメージを抱かれることがあります。しかし一方で、プロジェクトが終了してから次のプロジェクトに着手するまでの間は長期の休みを取りやすいのもプラント施工管理者の特徴です。
プラントの施工管理は厳しい職業ではありますが、やりがいやメリットもあります。ここからはプラントの施工管理のメリットをご紹介していきたいと思います。
施工管理の仕事は、新しく建設するプラントに限らず定期的な点検と修理や、老朽化で古くなったプラントの建て替えなどの際も必要となります。そのため、プラントが存在している限りプラントの施工管理の仕事は無くなることがありません。特に、一定期間稼働を止めて集中的な点検と修理をする「定期修理(定修)」の実施は法律で定められているので、景気に左右されずいつでも安定的に仕事が見つけられます。
施工管理は職種自体が高収入の部類に入りますが、扱う建築物のスケールが大きいプラントの場合はよりスキルが必要であり責任も大きいため、その分給与が高くなるのが特徴です。「建設・設備求人データベース」を運営する株式会社クイックの調べ(※1)によると、施工管理の平均年収が約630万円である中で、プラントに限ると約725万円という調査結果もあります。日本の就労者の平均年収が約436万円(※2)であることを考えると、高収入を目指せる職種と言えるでしょう。 また、工期の厳守や事故の発生率に対して成果報酬が発生することもあり、資格手当などが充実した会社が多いのもこの仕事の特徴です。このように、自分の努力やスキルに応じて報酬が増える点などを考えると、長く続けてスキルや経験を積むほど収入が増える傾向があるのがこの仕事の魅力です。
建築業界はプロジェクト単位で作業が進みます。確かにプロジェクトに携わっている間は長時間労働になりがちですが、前述の通りプロジェクトとプロジェクトの間に関しては長期の休みが取りやすいのもこの仕事の特徴です。まとまった休みを取れるからこそ、安い時期に長期の旅行に出かけて気分転換をする人もいれば、より高い収入を目指して集中的に資格の勉強をする人など、その時間の使い方は様々です。
プラントで働く際は「危険物取扱者」「高圧ガス製造保管責任者(甲種)」「「エネルギー管理士」などの資格を取得していると有利になります。ただし、プラントの施工管理は需要があるのになり手が少ない人手不足の業界、つまりは売り手市場(求職者に有利)の仕事です。 これらの資格は転職する際に必ず必要というわけではなく、転職後の取得でもかまわないということも多いのです。その場合、資格取得にかかる参考書代や受験費用などを会社が負担してくれることも多いので、こうした支援制度もぜひ調べてみましょう。
プラントの施工管理はハードな職業ですが、向いている人にとってはとてもやりがいがある仕事でもあります。プラント施工管理に向いている人の特徴は次の3つになります。
施工管理の仕事は、クライアント(発注者)と現場で仕事をしている作業員との間に立たなければいけません。こうした中で、どちらの意見も取り入れつつ、時には相手に納得をしてもらわなければいけない場面も多く出てきます。ですので、施工管理の仕事は互い意見をしっかりと聞く力と、それぞれの意見を取り入れて最適解を導き出す調整力が求められます。
プラントでの建設作業では、危険物の取扱いや、高所での作業など、多くの危険が潜んでいます。施工管理の仕事では、自分を含めた作業員の安全を確保するために、あらゆる場所に気を配らなければなりません。また、事故を防ぐための安全管理もとても重要になります。危険を未然に防ぐための危機管理能力は、施工管理をする上でとても重要な能力の一つです。
施工管理の仕事は、建設現場の指揮をとる存在といえます。そのため、作業員も納得が行き、やりやすいと感じられる段取りや手順を提示できることが重要です。こうした計画を立てるのが得意な人は現場での厚い信頼を得られるため、それが自信となって行き、新たな知識やスキルを身に着けていくモチベーションにもなって行くでしょう。
私達トライアローは、1979年にプラントの設計事務所として創業されました。プラントの建設現場では実に多種多様な人材が集まっています。そこで得た人的ネットワークを業界に役立てたいという思いから、1986年の派遣法整備のタイミングで人材事業に参入。現在では主に「建設」「IT」「通信」などを中心とした人材事業をメインとする会社です。また、長くプラントの建設に携わってきた当社ならではのお仕事もご紹介しています。
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