公開日:2023/02/21 最終更新日:2023/02/21
まずはシステムエンジニアとプロジェクトマネージャー、それぞれの仕事内容とその違いを解説します。
システム開発においてシステムの設計を担当します。わかりやすくいえば、ソフトウェアを作るための仕様書を作成する人のことです。仕様書の作成は、いわゆる開発の「上流工程」を指し、開発するシステムの要望をヒアリングして整理する「要件定義」や実現方法を確認する「設計」を担当します。 企業やプロジェクト規模により実際にプログラミングを行うこともありますが、一般的にプログラムを組むのはプログラマなので、仕様書はプログラマが見て作業できるものでなくてはなりません。 また、ソフトウェアや仕様書についての説明を現場の開発チームに求められることもあります。開発チームをまとめる役割もあります。
プロジェクトを統括し、マネジメントを担当します。多くは課長や係長クラスの管理職で、決裁権限を持っています。 顧客との折衝を通じて人員、予算、納期などを決め、プロジェクトがスタートすればコストやスケジュール、人員管理を行って進捗状況をコントロールしていきます。 プロジェクトにはトラブルや問題が発生することが多々あります。問題を分析し解決に導くこともプロジェクトマネージャーの業務の一つです。 具体的な業務内容としては、以下のような業務があります。
まずプロジェクトマネージャーはシステムエンジニアを管理する立場にあるということです。多くは上司と部下の関係でしょう。 システムエンジニアは現場のチームリーダーであり実作業の責任者、プロジェクトマネージャーはその上に立ってチーム全体を管理しています。 どちらも開発スキルに加えて、チームメンバーや顧客とのコミュニケーション力を求められますが、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの管理者としての全体の管理力も求められます。
プロジェクトマネージャーは、市場価値が非常に高いポジションです。 特に昨今は、国によるDX(デジタル・トランスフォーメーション)化への支援政策が進んでいます。DX化とは、AIなどのデジタル技術を用いてより正確なデータ分析を可能にし、その分析結果を製品やサービス、ビジネスモデルなどに積極的に活用していこうとする流れのことを指し、DX化のためのプロジェクトを導くプロジェクトマネージャーは需要が非常に高いです。 また、一定の開発スキルに加えコミュニケーション力やマネジメント力、課題解決力等、幅広い能力を求められます。いずれもすぐに身につくことではないため、難易度の高さから市場価値だけでなく将来性もあるといえます。
ここまで解説している通り、プロジェクトマネージャーは開発スキルやコミュニケーション力、マネジメント力、課題解決力などが求められます。 ここでは実際の求人で求められることの多いスキル・経験について解説します。
プロジェクトマネージャーは実際に開発業務を行うことはあまりありませんが、プロジェクトで必要となる知識や技術は求められます。メンバーへプロジェクトの説明をしたり、疑問に回答をしたり、トラブルが起きたときに解決へ導くために必要となります。 求人で求められるスキル例:「システム開発経験(言語不問)3年以上」「システム保守、運用経験」等
先ほどから言及しているコミュニケーション能力です。コミュニケーション能力とはかなり曖昧な部分を含む言葉ですが、話術に長けていればコミュニケーションスキルが高いというわけではありません。その人なりのリーダーシップの取り方や説得術、咀嚼力、柔軟性なども確立されているかどうかが重要となります。 コミュニケーション能力はある日突然身に付くものではありませんので、システムエンジニア時代から日々身に付ける努力をしておくとよいでしょう。 求人で求められるスキル例:「SEやプログラマに対して要件の説明や指示等の経験」等
プロジェクトのスケジュール、予算、品質からチームメンバーやステークホルダーとの連携などの管理が必要になります。時間や商品、人員など幅広いリソースの管理が求められます。 求人で求められるスキル例:「プロジェクトリーダーの経験」「管理職経験」等
顧客側の課題やプロジェクトで発生するトラブルを分析し、解決していく能力が求められます。いきなりできることではなく、たくさんの現場経験を積むことで磨かれていくものです。プロジェクトマネージャーはトラブルや問題の責任者のポジションですので、必須の能力といえます。 求人で求められるスキル例:「プロジェクトリーダーの経験」「折衝能力」等
古くから見られるケースとしては、最初はプログラマとしてスタートし、次にシステムエンジニアとなり、やがて管理職に就いてプロジェクトマネージャーとなる、というキャリアパスのルートがあります。 しかし昨今はシステムエンジニアとしてキャリアを積んでもプロジェクトマネージャーへは進まず、そのままシステムエンジニアとして専門スキルを磨いたり、フリーとして独立したり、ITコンサルタントなどの道へ進む人も増えています。多様化しているシステムエンジニアのキャリアパスについて解説します。
先ほどのプロジェクトマネージャーと似た名前になりますが、別のポジションです。プロジェクトリーダーはいわば現場監督のような立場で、プロジェクトマネージャーが立てた計画を元に、その計画通りにプロジェクトを実行できるようにしていきます。プロジェクトのメンバーの管理も行います。
最近注目されている職種の一つです。システムエンジニアとプロジェクトマネージャーの中間的な存在で、プロジェクトマネージャーの業務領域の一部である進行管理等を担当します。プロジェクトマネージャーの補佐を行い、場合によってはコーディングなどの作業にも手を貸すといったオールマイティーな役どころを担います。 いくつものプロジェクトが関連し合いながら並行して進んでいたり、大型化・複雑化している環境で働いたりする場合には、システムエンジニアを経てプロジェクトマネジメントオフィサーになるといった新たなキャリアパスもあります。
その名の通りIT分野における専門家です。技術力やエンジニアとしての専門性に特化している存在で、システムエンジニア以上に専門性の高い知識・技術が求められる反面、チームをまとめる役割などは求められません。 専門性の分野として、セキュリティ、データベース、ネットワーク、アプリケーション、システム管理、プラットフォームがあり、「ITスキル標準」が定めるレベル3以上のスキルが求められます。
顧客(企業)の課題解決のために、ITを活用したシステムや技術を提案します。 業務の流れとしては、企業の経営者や責任者から経営戦略や課題のヒアリングを行い、市場や競合を分析します。その結果を元に課題解決のための提案し、採用された案を元にシステムエンジニアなどへ要望を伝えます。顧客の課題をつかみ取るヒアリング力や課題解決の道筋を立て説明する論理的思考力が必要になります。
営業部門に所属し、エンジニアより営業に近いポジションです。製品についての専門知識やスキルを元に、営業職兼技術者として製品の説明やお客様への提案を行います。一人で営業活動をすることもありますが、営業に同行し技術面でのサポート役として提案を行う場合もあります。販売した製品に不具合があった場合、その対応にあたることもあります。
社内の経営課題や業務上の課題を元に、解決するシステムの設計、開発、導入や改修、障害対応などを行います。会社の規模により仕事内容が異なることが多いですが、プログラミングやデータベースなどのIT知識に加え、社内の営業や人事、総務など各部署とのコミュニケーションも求められます。
特定の会社と雇用契約を結ばず、顧客となる企業とプロジェクトごとに契約を結ぶ働き方です。働く時間を自由に決めたり、複数の顧客と並行して仕事を勧めたりすることが出来ます。固定給料は入りませんのでプロジェクトが全くないと給料が入らず、社会保険などもすべて自分で加入する必要がある等、経済的な安定感は会社員と比べて劣りますが、参加する案件を選ぶことが出来、案件をうまく回せば会社員より高い水準の年収で働けます。 フリーランスの場合は募集職種としてSE、PM、PMOなど分けられていることが多く、新たなポジションに挑戦するためにフリーランスという働き方を選ぶ方より、これまでの経験を元に自由な働き方をするために独立をする方が多いです。
先ほど解説をしたように、以前と比べキャリアの選択肢が増えました。選択肢の中から自分の将来に合う希望に合うものを選ぶためにも、今後のキャリアプランを考えて働くことが重要になっています。早い段階でキャリアプランを見据え、必要なスキルや資格の取得を取っていくことが理想です。キャリアパス例やその場合に必要なスキルについて紹介します。
■PMを目指す場合 1年目 プログラマとしてシステム開発 3年後 システムエンジニアとして上流工程へ 5年後 PLやPMOとしてPMをサポート、チームマネジメントなどの経験を積む 8年後 PMとしてプロジェクトを総括 ■ITスペシャリストを目指す場合 1年目 プログラマとしてシステム開発 3年後 システムエンジニアやPLとして上流工程へ、全体像の把握をする 5年後 得意分野での専門性を活かし、技術面でけん引する存在に ■セールスエンジニアを目指す場合 1年目 プログラマとしてシステム開発 3年後 システムエンジニアやPLとして上流工程へ、顧客との折衝経験を積む 5年後 SEやPLとしての知識を活かしてセールスエンジニアへ
必要なスキルはそれぞれ目指すポジションにより異なります。ですが、いずれもシステム開発における能力及びコミュニケーション力は求められることがほとんどです。 この二つを基盤に、ITスペシャリストであればより詳細な開発能力や資格取得を目指したり、セールスエンジニアであれば顧客との折衝経験を積んだりできると良いでしょう。 また、どのポジションも取得が必須となる資格はありません。しかし、取得しておくと役に立つ資格もあります。一例を紹介します。
一般的にシステムエンジニアの年収は400~500万円台ともいわれます。 その後、もしプロジェクトマネージャーに昇格すれば年収600万円台へと上がり、キャリアを積めばさらに収入はアップしていく傾向にあります。 同様に、ITスペシャリストは年収500~600万円台、ITコンサルタントは600万円台、セールスエンジニアは500~600万円台、社内SEは500万円前後といわれています。 ただし、これは正社員雇用の場合の一例で、就業形態、企業規模、業種などによっても金額は異なってきます。 また、フリーランスエンジニアは、スキルや任される仕事の内容によっても変わりますが、正社員雇用時より年収がアップする傾向が強いようです。そのほかにも、モバイルアプリなどを開発してヒットさせれば年収1000万円を超える可能性もあります。
■自己分析 まずは現在の自分自身の分析をしましょう。
■スキル習得 分析をしていくと、現在の自分と目指すキャリア像の足りないところが見えてくると思います。例えば「マネジメント経験」など最初はざっくりとしたものになると思いますが、それを実現するために何が必要なのか、さらに細かく分析します。 例えば、
■転職が必要なこともある 分析をしていくうちに、どうしても今の会社ではキャリアを実現できないこともあります。その場合は転職を視野に入れることもおすすめします。 しかし、新規のプロジェクトなどで希望の業務に挑戦できるケースもありますので、転職を考える際は自分のスキルとやりたいこと、そのために必要なことを十分に整理したうえで判断するようにしましょう。
エンジニアとして働く上でお勧めしたい働き方として、「技術者派遣」という働き方があります。技術者派遣は自分の希望やスキルに基づいたプロジェクトの紹介をしてもらえるため、キャリアプランを元に業務の内容を選ぶことも可能です。そのほか、「家族がいるから離れた地域にはいきたくない」など働き方の希望も加味したうえでプロジェクトを探してもらえます。自分でプロジェクトを探す手間が省けることもメリットの一つです。
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